Ph.D.企業研究者の思考貯蔵庫

Ph.D.企業研究者の思考貯蔵庫

博士(農学) → 企業研究者 Twitter → @rhizobium13

博士に進む理由とは?

研究が好きな理系修士課程の方にとって、就職か、進学か、という選択は非常に難問です。この記事ではそのヒントになるようなことを書いていきます。

 ãå士 ã¤ã©ã¹ã ããªã¼ãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ

目次

 

合わせて読みたい

理系大学院生が博士課程に進むときに考えるコト① (資質・資金) - 社畜Ph.D.のブログ

理系大学院生が博士課程に進むときに考えるコト② (博士に進むメリット・ラボ選び) - 社畜Ph.D.のブログ

 

博士に進学する理由

 僕はこれまで学会などでキャリアパスセミナーをしたり、博士の就職相談をしてきました。セミナーなどで講義をするにあたり、これまで博士課程の方々に、なぜ博士課程に進学したのか、というインタビューを行ってきました。その中で、博士に進んだ理由が以下にように分類されることがわかりました。

 

理由1:研究が好きだし、アカデミックポストに就きたい。

理由2:修士課程の研究では中途半端、もう少し研究をしたい。

理由3:博士課程の3年間のほうが社会人の3年間より成長できそう。

理由4:修士での就活が上手くいかなかった。

理由5:なんとなく

 

これらについて検証したいと思います。

 

理由1:研究が好きだし、アカデミックポストに就きたい人

  これは、博士に進学するうえで言うまでもなく最高の理由です。アカデミアを目指すのなら必要な資格ですし、何よりキャリアデザインが明確であるということが重要です。こういった人は博士課程で成功する可能性が大きいです。僕の友人でも「博士課程まで進む以外の選択肢をそもそも考えなかった」と言っている人がいましたが、その人は若くしてアカデミックポストに就き、大きなグラントもとり、大成功しています。

理由2:修士課程の研究では中途半端、もう少し研究をしたい人

 うーん。わかります。でも、それだけが理由だとつらいですよ。学生時代の研究とはいずれ離れるときが来ます。それが今が3年後か変わるだけです。研究への愛着だけで続けると、研究が失敗したときの精神的ストレスに対処できません。またキャリアデザインが明確でないと、博士課程の間にどういう成長をすべきがという目標もできません。こういう人はもう少し自己分析をしたほうがよいでしょう。

理由3:博士課程の3年間のほうが社会人の3年間より成長できそう。

 こういう人は、すでに企業へのキャリアパスを見据えているか、あわよくばアカデミックポストも、という欲張りな人が多いです。僕も含め、企業に進まれた博士の方々はこの理由でした。この理由の人は、博士課程でどういう成長をするか、という明確な目標があるかないかによって、成功するかどうかが決まります。

 実はこういう人は、企業における3年間の成長を見ていないので、勝手に想像し、過小評価してしまう傾向があるようです。企業での3年間もなかなか成長機会がありますよ。なのでこういう人は、博士出身の企業研究者にインタビューして、明確なイメージを持ちましょう。

「博士課程での3年間は社会人の3年間を超えるか」という問題が大きいので、別記事でまとめる予定です。

理由4:修士での就活が上手くいかなかった。

 あるあるですね。博士課程の2-3割はそうなのではないでしょうか。でも、僕はこの理由はおすすめしません。なぜなら、僕の周りのこういう人たちは、3割程度が鬱になり、また5割程度は博士課程で何の成長もせずに、修士の時よりも市場価値を下げて就活に挑むことになります。修了できない人も多いです。修士で就活浪人をするほうが、いい企業に勤める可能性が高いです。まぁ、死ぬ気で頑張る1割くらいのひとは成功するけれど、、

理由5:なんとなく

 自己分析をしましょう。絶対にしたほうが良いです。

 

 

 ということで、博士に進んだ人の理由を見てきました。理系修士課程の人は9割以上が就活をして企業に勤めるので、企業に勤める理由についてわざわざまとめることはしません。もし、博士課程進学を少しでも考えているなら、自分が上記の理由にあてはまっているか、分析するのに役立つと思います。

 世の中に優秀な博士が増えることを願って、こういう記事をまとめさせていただきました。こういうことを発信していきたいと思います。