Ph.D.企業研究者の思考貯蔵庫

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AIに支配されないために、人文科学を鍛えよう!(1/2)

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AI!AI!AI!

この言葉を聞かない日はないくらい、最近は、毎日AIという言葉を聞きます。AIに仕事を奪われるとか、AIがあれば何でもできるとか、もううんざりです(>_<)。ということで、こんなタイトルの記事でまとめてみたいと思います。

 

目次

 

AIってなぁに?

AIとはArtificial Intelligenceの略で、人工知能のこと。人工知能って聞くとなんか全能感がありますよね。SF的な。

そのイメージが先行しちゃって、AIさえあれば何でもできる!AI最強!AIに支配される!なんていうことが言われ始めたんです。でも

AIっていうのは、単なるBUZZWORDなんですよ!

使いやすいからみんな口走ってしまう。AIって言っておけば何とかなる。AIを導入したら仕事をした気になる。そんな仕事、YouTubeでいうと「AIを導入してみた」くらいものもでしかありません。

杜撰な理解のままAIという言葉を口走らないために、いったんここでAIについて勉強してみましょう。

AIは機械学習手法の一つ

 AIはバズワードなので、定義がブレブレです。最近はちょっとした統計手法を使っただけで「AIを使いました」なんていう悪徳業者(研究者)もたくさんいます。そうした人々がAIの定義をぐちゃぐちゃにしてしまったので、一度立ち戻ってみましょう。

きちんとした定義は下のNVIDIAのブログがまとめてくれていますが、ここではわかりやすくお伝えします。専門家ではないので、多少誤りがあったらすみません。

blogs.nvidia.co.jp

 

現在よく聞くAIとは

多層ニューラルネットワークを用いたディープラーニング

です。

(; ・`д・´) は?

って感じですよね。

AIの解説が本記事の主題ではありませんが、もう少し掘り下げてみましょう。

 ニューラルネットワークとは、人間の神経細胞そのつながり、つまり神経回路網を人工ニューロンという数式的なモデルで表現したものです。図式化すると、下図の真ん中の〇と線がつながったものです。これに入力(猫の写真)を入れると、なんかよくわからないけど、出力としてコンピュータが「ねこ!」と答えます。入力は画像でなくともよいのですが、最近は自動運転や不良品判別などで画像データが使われることが多いです。

 

 

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 多層ニューラルネットワークを用いて学習させることを深層学習・ディープラーニングと呼びます。つまり、上図の〇と線のつながりを作ってやることですね。学習には入力データ(猫の写真)を大量に用意(数万~数億枚)し、「ねこ」という答えをラベル付けしてやります。そして、大量に猫のデータを読ませることで、ねこの画像と「ねこ」という言葉が結びつき、最終的に、どんなねこの画像を見せても「ねこ」と出力するニューラルネットワークが出来上がります。

 最近は、ねこの種類まですぐに判別できてしまうモデルもできているようです。技術の進歩すごいですね。でも、実はその学習が大変なのです。

AIを作るのは大変

 本当にすごい技術なのですが、AIを作るのは大変です。大量の入力とそれに対応する答えを用意しなければなりません。学習をさせる必要があるのです。それは、赤ちゃんに「ねこ」を教えるようなものだと思ってください。少しはイメージできたでしょうか。また、そんなに学習させてやっと出来上がるのは猫判別AIです。全能性とは程遠いですね。

 さらには、正しい答えを用意しなければ、偏見を持ったAIが誕生します。なので、教師側に問題があれば、使い物にならないAIが誕生してしまいます。

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AIは幻滅期?

 そんなわけで、2~3年前までは全能感のあったAIですが、数々の企業が導入に失敗し、幻滅期に入っています。

 ・たくさん学習させたのに、当たり前のことしか言わない。

 ・導入コストが同じ仕事をできる人の人件費より高い。

 ・そもそもAIに得意な仕事じゃなかった

などの現場の声も聞きます。ガードナー社のハイプ・サイクルでは、ディープラーニングはそろそろ期待度を落とし始めるだろうと予測されています。

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出典:Gartner 5 Trends Emerge in the Gartner Hype Cycle for Emerging Technologies, 2018

AIにできる仕事・できない仕事

 とはいえAIを用いて肩代わりされる仕事はたくさんあります。自動運転が始まれば運送業の方々は職をなくしますし、機械音声のコールセンターなんかも出てきています。銀行の窓口もなくなるという話ですしね。なので、答えを用意しやすい単純作業はどんどんAIに奪われていくでしょう。

 ということで、我々はAIに奪われない仕事、もしくはAIとともに新たに生まれるビジネスをしなければならなくなります。

 

 次の記事では、「センスメイキング」著者、Christian Madsbjergさんの意見に即して、なぜ人文科学が大事なのかを書いていこうと思います。

センスメイキング

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