Ph.D.企業研究者の思考貯蔵庫

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僕の就活②【スタートダッシュ失敗】

 どうも、お久しぶりの更新です。Rhizobiumです。最近、出張や私事であまり余裕がなく、blogの更新をさぼっておりました。

今回は、前回の続きの記事を書いていこうかと思います。

前回の記事はこちら↓↓↓

 

rhizobium.hatenablog.com

 

 就活が始まろうとしているのに、キャリアプランが決まらず、マルチタスクをせざるを得なくなってしまった僕ですが、周りには企業への就活をしている博士は知らず、大学の就活セミナーなどもなかったため、

 就活は3月くらいにスタートして、6月に面接解禁である。

という、よくニュースで見る情報を信じていました。企業就活をするなら、国内で研究をしたいという思いがあったので、外資系の企業などは考えておらず、就活は経団連の指針に従って行えばよいと思っていました。

 

 しかし、この時点で大変な思い違いをしておりました。

博士の就活は経団連の指針の範疇ではないのです。

 これは博士の学生には知っておいてほしい。僕みたいなボケを増やさないためにも。

 

 化学メーカーや製薬メーカーは、12月くらいに博士採用をはじめ、3月には就活が終わっていることが多いです。そして、6月解禁の就活では、博士枠が足りていないときのみ採用するみたいです。ですので、その際には、あるかどうかわからない枠に向かって就活しなければならない。ほぼ採用されることはないです。

 

 それを知らなかった僕は、のんきに3月にプレエントリーを始めました。

 「よっしゃ、いっちょやったるか」

くらいの高いモチベーションで、就活を開始しました。

 そして、今でも忘れない、3月9日に衝撃の事実を知ります。

 

 食堂で研究室メンバーと昼ご飯を食べていた時のこと、同期のD2学生を久しぶりに見まして、話しかけました。

 

ぼく「久しぶりやん、最近会わんかったな」

友人「そうだね。就活しててなかなか学校来れなかった。」

ぼく「そうか、俺も就活中や。どういう会社狙ってんの?」

友人「面接は終わって、〇〇と××に内定貰ってて、どっち行こうか迷ってる。

ぼく「え?めっちゃはやない?」

友人「いやそんなことないよ。周りも決まり始めたし。」

ぼく「まじ?おれ始めたとこやで?」

友人「ほんとに?・・・博士の就活は冬から始まってるよ。」 

ぼく「・・・。そう・・。知らんかった。・・やばいな」

友人「くっそやばいなwwwww」

 

見事にスタートダッシュ失敗

 

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こうして僕のモチベーションは就活開始9日目で最底辺に落ちるのであった。

 

みんなはこんな風にならないでね。

 

 

僕の就活①【迷える子羊誕生】

 こんにちわ、Rhizobiumです。この記事では、僕の経験した就活を、連載編で面白く語っていこうかと思います。

 これまで、博士の就活に関していくつか記事を書いてきたのに、実は自分の経験を一切語っていないということに気づきました。これではいけないと思い、せっかくなので、連載編にしていこうかと思います。

 真面目な感じの記事は、以下に貼っておきますが、この連載編ではさほど真面目なことは言わず、ストーリーとして簡単に面白く読めるようにまとめようと思います。

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真面目な記事たち↓↓

 博士の進路選択 カテゴリーの記事一覧 - Ph.D.企業研究者の思考貯蔵庫

 

 

 

迷える子羊の大学院生誕生

 これまでの記事では、真面目に博士のことを語ってきましたが、私が大学院生の時は優柔不断で決断力のない学生生活を送っていました。

 本来ならこの時期ならば、自分のキャリアプランは決まっています。大体3つくらいなのではないでしょうか。

 

①国内の研究機関のポストを探す。

国内の研究機関ならば、教授に紹介してもらったり、自分でアポイントを取ったりするのが順当です。自分で研究費を持っていかずとも、その研究室の資金獲得状況とコネ次第でポスドクとして受け入れてもらえたりします。

 

②海外の研究機関のポストを探す。

 海外の研究機関なら、直接コンタクトを取って、Skypeなどで受け入れ相談に乗ってもらいます。ただ、自分で資金を持っていかないと厳しい場合が多いです。もちろん教授のコネと自信の業績次第ですが。

 

③企業 or 公的機関に就活をする。

 企業の就活なら、卒業1年半前には準備が必要になります。一般論ですが、OB訪問などがあるので、準備は早めにしとくことに越したことはないです。

 

 しかし、僕は進路選択を後回しにしてしまいました。 大学院卒業を一年後に控える3月まで、「なんとかなるさ」と思いながら。加えて、「自分が何をしたいのかわからない」という一種の病的な悩みにも苛まれていました。このような状況になってしまった理由はあるのですが、ここでは省略します。

 この楽天的思考と、自己分析の欠如により、

 迷える子羊が誕生しました。

 

 迷える子羊の悪いところは、決断を先延ばしにするあまり、仕事が倍増するところにあります。なんと僕は、決断ができないあまり、上記①~③をすべて同時並行に行うことに決めたのです。

 さらにこの時、僕の最も力を入れた研究結果を論文をまとめてハイインパクトなジャーナルに投稿しようとしていました。さすがに研究は一時的にストップしましたが、

 

 ・国内研究機関 (産総研理研

 ・海外研究機関 (海外の知り合いの先生にアポイント、海外学振の申請)

 ・企業就活 (自己分析からスタート)

 ・論文執筆 (本気のやつ)

 

という業務を同時並行で進めるという暴挙に出ました。

 

なんというマルチタスク!?

 

 ここまでアホみたいなマルチタスクを背負った博士を僕は知りません。普通の博士はこんなことはないと思います。これも僕の迷える子羊病が招いた罰です。

 

 これからいろいろと書いていきますが、僕の伝えたいことは1つだけです。

 

キャリアプランは早く決めておこう。

 

 でないと僕みたいに自分で自分の首を絞めます。

 

 次の記事は、【開幕ダッシュ失敗】です。

 

rhizobium.hatenablog.com

 

鬱になりそうなときの対処法

 たくさんの理系大学院生と同様に、私も学生時代から、かなりストレスの多い生活を送ってきました。さらに、会社に入ってからもかなりストレスフルな研究生活を送っています。

 そのため、気分が落ち込んだり、「鬱になりそう」と感じることがあります。実際、健康を損なったこともあります。

 また、周りにも鬱になった方が多く、自分も気をつけねばと思う日々です。

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 この記事では、私が鬱になりそうなときに良く使う方法を紹介します。

 

目次

 

私が辛かった時

 私も読者のみなさんと同様、これまでかなりストレスフルな生活を送ってきました。例えば以下のようなときです。

① 研究成果が1年半全く出なかったとき

 初めて扱う微生物の遺伝子組み換え法を構築しようとしていたのですが、全く組み換え方法がわからない。そもそも組み換えられるかわからない、ということがありました。

 出口があるかないか分からない洞窟をさまよっている感覚で、全く成果が出ない。でもこの方法を作らないと次の実験ができない。という、かなりきつい経験でした。しかも一年半という期間です。

 大学院は、研究室に入ってから博士卒業まで6年間しかないのに、一年半もNo DATAで過ごすなんてことは、非常にストレスフルでした。

 この間、非常に暗い時期を過ごしました。でも、大学院で鬱気味になる人は、こういう経験があるのではないでしょうか。

 

メンヘラちゃんに心を乱されたとき

 昔の彼女が完全なメンヘラでした。LINEはすぐ返さないとキレるし、頻度高く合わないと脅されるし、泣きながら電話が掛かってくることも頻繁にありました。

 理系大学院生のような合理的な人間には、メンヘラちゃんは合わないんですよね。付き合っている時期はしんどかったけど、別れる時がストーカーみたいになって一番大変だった。。。

 

③ 指導してくださった先生が亡くなった時

 人生で最もつらかった出来事です。私の一回りくらいの先生だったのですが、30代後半で亡くなりました。この時のことはいずれ心が整理されたら書くかもしれません。

 

④ 会社で大量の仕事を任されてキャパオーバーになった時

 日常茶飯事、今現在も起きています。

 博士だからなのか、同じ年代の人の2倍以上仕事を振られます。さらに自分でやりたい闇実験もやっているので、常にキャパオーバー状態です。

 

などなど、ストレスがたまりっぱなしです。

では、私がストレスにどうやって対処しているのか、お伝えします。

 

軽度ストレスの対処法

 絶対に筋トレをオススメします。

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 筋トレがいいのは、もちろんホルモンバランスを整えたり、運動することによる血流アップなど、それ自体が身体によいこともあります。そういったことは下の記事のまとめられています。

筋トレを続けることのメリットとは | POWER PRODUCTION MAGAZINE(パワープロダクションマガジン)

 

 ですが、ここでは精神的な部分を見てみましょう。

 真面目に筋トレをしているときには、「筋トレに集中して、それ以外のことが考えられない」という状態になります。限界の重りをつけているときには、集中しなければ重りが上がりません。また、早いペースでのランニングもよいです。

 この状態では、頭の中が強制的にストレス源から切り離されるのです。ストレスから離れた時間があることは、精神的に良い気がしています。

 また、単純に体力がつくのもよいですね。精神がやむのは体力が減っているときです。なので、HPを増やせば、鬱から遠ざかることができます。

 

中度ストレスの対処法

 筋トレができないほどしんどくなったら、現実逃避がオススメです。

 「ちょっといいデザートを食べる」、「遊びに出かける」などであればよいです。できるだけ頭の中がストレス源から切り離されるものを選びましょう。

 人と話すのももちろん良いですが、愚痴を言っていると、ストレスから切り離されないので注意しましょう。

 自分の頭の中を一つのことで満たすのは危険です。頭の中のポートフォリオを意識して、ストレス源の割合を小さくしましょう。

 分人の考え方と一緒ですね。

 

rhizobium.hatenablog.com

 

  私は釣りをして、よく一日ぼーっとしていました。海を見たり、山に登ったりすると、ちっぽけなことはどうでもよくなります。これが正しい現実逃避です。

 

 ただし、それよりもつらくなったら、以下の自傷行為も解禁です

・散財

・やけ食い

・酒

 これらに逃げる人はマゾヒズムを持っている人です。でも、それで乗り切れるなら良いです。ただし、習慣化してしまうと鬱へと進む可能性が開けるので、気を付けましょう。

 

 

重度ストレスの対処法

  これが伝えたかったんです。そのために記事を書きました。

 実はごく最近、友人が鬱っぽくなり、その時に私にSOSサインを送ってくれたので、私はこの方法をオススメしました。それは、

 徹底的に自分と向き合ってみる

という根本的な方法です。

 自分の体はいつでも鏡でチェックすることができるので、「最近太ったな」とか「神が薄くなってきた( 一一)」とかがわかります。

 しかし、自分の心の中を知るための鏡はありません。しかも、重度ストレスに悩まされているときは、頭の中がぐちゃぐちゃです。

 

じゃあ、どうするか。私は

 無人Twitter書き込み法

を見出しました。これは独自の方法ですが、私には効果てきめんでした。

 

 

Methods

①まず、Twitterの新規アカウントを準備します。鍵垢がいいです。

 

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②思っていることを全部、洗いざらい吐き出します。

③すぐに100ツイートくらいは行くでしょう。

もしかしたら、ここで、自分が何を欲しているのか、何をストレスに感じているのかが、露わになってきます。

 

④寝ます。寝れなくても、いったん数日放置します。

-------------------------

⑤調子のよい日に見返します。

⑥徹底的に自己分析をします。

⑦原因を特定します。

⑧解決策を考え生活を改善します。

 

こうすることで、自分を知り、悩みを明確化し、解決策を考えることができます。

 Twitterじゃなくてもいいです実際、友達とLINEしているうちに、ことの経緯を吐き出してもらって、「自分で気づいた」って言ってくれました。文書化することで自分を知ることができるのです。

 

それでもつらいときは

 絶対に心療内科に行ってください。

 心は自分で治せると思っている方が多いですが、

心の病気は身体の病気と一緒で、お医者さんに診てもらったほうが治りが早いです。

 だいぶきつくなったら、自分で治そうとせず、お医者さんと話しながら治すことを心掛けてください。

 意外と、鬱じゃないかもしれません。自律神経失調症なんてのもあります。なので、

自分よりも専門家を信用して、しっかり治しましょう。

 

 

 いかがでしょうか。私はまだ病院までは行ったことはないですが、Twitterはよく使っています。

 皆さんも辛くなったときは、参考にしてみてください。

 また、独自の方法を見つけたときは、シェアして頂けると幸いです。

 

 

企業は博士を必要としているのか?

 博士を取得したのちに企業で研究している人ってかなり少ない印象がありますよね。バイオ系に関してはほぼ製薬企業しか博士を取らないイメージがあります。

 そういうイメージを抱えながら、データを探索していると、面白いものを見つけました。

 

NISTEP:「民間企業の研究開発に関する調査報告書」

http://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads/NISTEP-NR181-FullJ.pdf

 

 この報告書からは、企業の研究開発における統計データがまとまっており、かなりの考察ができそうですが、この記事では企業における博士についてのデータのみをまとめ考察します。

 

目次

 

企業は博士を採用するのか?

 企業は博士号も持った人を採用するのでしょうか?これが一番の疑問です。実際はどうなっているのかデータを見てみましょう。

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 修士号取得者を採用した割合は43.9 %、博士号取得者を採用した割合はなんと

13.0%です。

 どう思いますか?非常に少なくないですか。採用した企業が168社です。この文書では、アンケートを送った資本金1億円超の全企業のうち、回答率が50%強なので、

 博士を採用する企業は日本に300社程度

だと類推することができます。全業種合わせてでこれは少ない。

  

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 この表もわかりやすい。資本金100億円をこえる企業でも博士の採用数は

 平均値 1.3人 中央値 0人

 ということです。



これについて報告書では、

 博士課程修了者やポストドクターを採用した企業の割合が低いという結果は、博士課程修了者やポストドクターといった研究開発者が、学士号取得者や修士号取得者と比べて供給量が少ないことも影響していると考えられるが、企業の求める人材がポストドクターでは得られない可能性や、採用情報が広く認知されていないなど人材のマッチングがうまく機能していない可能性も考えられる。

 

と述べています。採用情報の認知の問題もありますが、求める人材が得られないというマッチングが一番の問題なんでしょうね。

 結論からすると、悲しいことに日本の多くの企業は博士を欲していないということです。

博士課程修了者の採用数が多いのは医薬品製造業(2.1人)である。

ということなので、バイオ博士を取ったら医薬系に行くのが王道ということでしょうね。

 

博士の評価

 採用した博士が期待通りだったのか。下図はよく見る図ですが、博士は期待より上回る可能性が高く、期待より下回る可能性が低い、ということで、それなりに評価されているのだと思います。

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このグラフが定性的な評価(一企業につき一回答)であるということ、主観による評価であるということは突っ込みどころですが、

 ここから考察できることは、博士の採用は厳しく見ているので、期待を下回る可能性が少ない、とも読み取れます。

 

博士に求められること

 この図はとても興味深い!

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 他の学歴と求められることが異なっていますね。特に以下の4点が求められています。

・技術変化への順応性

・関連する研究分野に幅広い知識を持つこと

・研究についての人材ネットワーク構築

・国際的なコミュニコーション

 

 一方で、

・特定分野について深い専門分野の知識を持つこと

については、学士、修士とほとんど変わりません。これはいったいどういうことなのか。

 

 これらの情報をもとに求められる、企業が求めているPh.D研究者像は

幅広い知識と人材ネットワークを持ち、国際的に活躍できるGeneralist系の研究者

ということになります。

 専門性に特化した研究者は求められていないということです。

 

まとめ

 NISTEPの情報をもとに、私の意見をまとめます。

 

①博士号を持った研究者を求める日本企業は少ない。

②バイオ系の博士は医薬品製造業を選ぶのが王道。

③ジェネラリスト系で英語ができる研究者を求めている。

 

 まとめてみて、とっても世知辛いですね。私自身も勉強になりました。

 博士研究者はアカデミアにも企業にもポストが減少していて、厳しい世界です。こんな事態が起こっているのは日本特有の問題です。もっと博士の重要性を日本に広めないと。それとも日本を出るのが良いのか。難しい話題です。

 

 あくまで私の意見なので、博士の就活生はあまり本気にしないでください、と言っておきたい。

 

 

【バイオ系必見】これから目指すべき研究分野とは

 日本はすでに科学技術の分野で世界から随分と差をつけられており、また従来は優位性を持っていた基礎科学能力でも、今は落ちる一方で、米国や中国から相当な差をつけられています。

 日本の科学技術が生き残るためには、「選択と集中」をして、リソースを効率よく分配し、その分野の中で優位性を担保するしか、方法はありません。これは私の意見ではなく、日本の政府の意見です。

  ということで、今回の記事は、日本の社会動向を見た上で、今注力すべき研究分野を見ていきます。

 

目次

 

バイオ戦略2019

 まず、情報収集をするうえで、日本政府の情報というものは大事になってきます。6月に統合イノベーション戦略推進会議から、2030年までに日本が目指すべき方向性を示した

 「バイオ戦略 2019(案)」

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tougou-innovation/dai5/siryo3-2.pdf

が発表されました。

 ここには、これから日本が注力するバイオテクノロジーの9分野が載っております。

 下記9分野には、日本政府がリソースを集中し、国内外の投資も呼び込むと宣言する案になっております。

 

 日本政府がこういったことを宣言するということは、

 ① 国家予算が付く

 ② それを見た機関投資家が資本を投入する

という流れになります。

 

アカデミアの方にとっては、この分野の研究申請書が通り安くなるかもしれません。また、国プロもいくつか立ち上がるでしょう。

 企業にとっても、法規制や優遇などの問題を考えると、この分野に参入することにはメリットがあります。(そうさせるように国が方向づけています。)市場が活況すると考えてよいでしょう。

 なので、こういう政府の動向を注視するのは効果的です。

 

それでは。一つ一つ見ていきましょう。まとめたものは以下の図です。

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① 高機能バイオ素材(軽量性、耐久性、安全性)

‧ 持続可能な(経済合理性・環境適性を両立)炭素循環社会の実現は、世界共通の課題であり、軽量強靭なバイオ素材に対するニーズの大幅な拡大が予想(特に健康医療分野、モビリティ分野)

‧ 我が国は素材技術及びその利用領域(車など)に強みあり

‧ 産業化に不可欠な生産培養技術を強化することで素材開発を促進、世界市場を開拓

 

➡ SpiberとかBolt threadsとかのタンパク質繊維のことを意識しているんでしょうか?それとも植物由来のプラスチックのことを言っているんでしょうか。バイオゴムという手もありますね。炭素含有繊維ということですが、ここにバイオが生きてくるのか?

➡ 投資家目線では資金を投入したくなる気持ちはわかる。でもSpiberとかの惨状をみていると、ここにリソースを投入してリターンを得られるかは甚だ疑問。

 


バイオプラスチック(汎用プラスチック代替)

‧ 世界的課題である温室効果ガス削減に対応した化石資源に依存しないプラスチックの製造が実用化していないこと、廃プラスチック有効利用率の低さ、海洋プラスチックごみ等による環境汚染が世界的課題

‧ 我が国はプラスチックの適正処理・3R 等のノウハウが豊富であるとともに、我が国の豊富な遺伝資源と競争力のある素材物性情報はバイオプラスチックの開発において有望な資源

バイオプラスチック生分解性プラスチックの開発を促進するとともに、静脈システム管理と一体となった導入システム構築により世界市場を開拓

 

 

生分解性プラスチックはカネカのPHBHが有名です。年5000 tの生産を目指しているとか。ポリ乳酸とか、その他バイオプラは、成形性に不安があるので、そこを解消する製品を、ということでしょう。

政府の規制があるということかもしれませんね。

 

③ 持続的一次生産システム

‧ 急激な経済成長を遂げるアジア・アフリカでは、農業の生産性の向上が求められるとともに、よりおいしい食などニーズの多様化が予想。また、気候変動・環境問題が深刻化する中で、持続的な一次生産(肥料、水、労働力等の最適利用、廃棄物・排水処理から生産される堆肥の循環利用など)が必要

‧ 我が国は育種に不可欠な世界トップレベルの遺伝資源を保有するとともに、世界レベルのスマート農業技術・システムを構築。これらの強みを生かして、多様なニーズに対応した持続的な一次生産の実現が可能

‧ スマート育種により、多様なニーズに対応し、気候変動に強い品種等を開発するとともに、スマート農業技術・システムを組み合わせて世界市場を獲得

 

 

規制緩和がないと、ゲノム編集領域が成長せず、従来の育種のみになってしまう。規制緩和すると海外からゲノム編集作物がどんどん入ってくる。

 

有機廃棄物・有機排水処理

‧ アジア・アフリカの人口増加や急激な経済成長に伴い、世界の廃棄物の急激な増加、環境問題の深刻化に対応する環境浄化関連市場の大幅な拡大が予想

‧ 日本は、経済成長に伴う環境問題を克服した経験があり、廃棄物・排水処理は世界最高レベル

‧ 世界に誇る我が国の廃棄物処理・リサイクル・排水処理の経験・ノウハウを活かして、堆肥化や、化学品化等高付加価値を有する物質・素材等への転換を図るバイオを活用した資源循環システムの構築等により、市場を獲得・拡大

 

 

➡ イエバエ研究のムスカがここらをやろうとして、大手商社が資金投入しているけど、方々で言われているよう彼らの技術には疑問が残る。ここをもっとイノベーティブなビジネスアイディアで乗り切れないか。


⑤ 生活習慣改善ヘルスケア、機能性食品、デジタルヘルス

‧ 世界的に生活習慣病が増加する中、世界の健康関連市場が拡大

‧ また、東南アジア等健康保険制度が発展途上にある国においては、医療に依存せず健康を維持・増進するニーズが高く、健康に良い食は極めて有望な市場

‧ 日常生活から医療まで様々なデータを取得し活用するヘルスケア市場・医療は欧米を中心に各国が着目し、ウェアラブルバイス・アプリ等のデジタル技術を使ったサービス・機器の開発や、診断・治療法の研究開発が活発化

‧ 世界的な健康長寿国である我が国の生活習慣と健康に関するデータ、我が国の医療現場に存在するリアルワールドデータの良質さ・豊富さ、日本食等健康長寿に資する食・飲料は有望な資源

‧ これまで分散し眠っていた健康・医療関連データをビッグデータ化し、バイオテクノロジーと組み合わせることや、健康に良い食の解明・開発とそのオーダーメイドな提供を通じて、本市場領域を発展させ、健康・未病段階のセルフケア・早期発見、代謝異常に備えた予防、臓器障害における治療と重症化・再発予防を切れ目なく行う社会システムを世界に先駆けて実現し、世界市場を獲得。「AI ホスピタルシステム」も事業化し、新市場を創出

 

➡ ここは言わずもがな重点領域。予防医療でどれだけ医療費を抑えられるか。とにかくデータサイエンスが苦手な国なので、国が旗降って、大規模リソースを投入してやらないと。

 

⑥ バイオ医薬・再生医療・細胞治療・遺伝子治療関連産業

‧ バイオ医薬品や再生医療等の研究開発が進み、バイオとデジタルの融合により、今後、バイオ医薬品や再生医療等の本格的な産業化と巨大な新市場の創出が期待

‧ 我が国には、伝統的な基礎研究の基盤が存在するとともに、伝統的な発酵産業で培った微生物・細胞培養技術等は有望な資源。カイゼンや品質管理などのものづくりへの真摯さも強み

‧ 川下側で重要となる細胞培養・運搬・受託製造等のデジタル化・AI 化・機械化を図り、原料となる細胞等の供給から製造まで一貫したシステムを開発し、特に創薬分野の共通的な関連産業市場を押さえることで、再生医療等の本格的な産業化の際の大市場を獲得

 

➡ 今の時代、バイオ医薬はどれだけの質と量のスタートアップが生まれたかに依存するが、日本で成功しているのはペプチドリームくらいか。日本の柱とするにはちと弱いきがするな。

 

⑦ バイオ生産システム(バイオファウンドリ)<工業・食料生産関連(生物機能を利用した生産)>

‧ 工業、食料生産等に必要な生物機能を利用した生産技術が米国を中心に急成長中

‧ 我が国の微生物資源、地域の生物資源、発酵技術は有望な資源。カイゼンや品質管理などのものづくりへの真摯さも強み

‧ 合成生物学や未利用微生物の実用化も含めた微生物等の育種から生産に必要な大量培養に至るまでのプロセスの高度化と徹底したデジタル化・AI 化・機械化を図り、本市場領域の国際競争力を飛躍的に向上させ、市場を獲得

 

➡ 我が国の合成生物学はアメリカに二周遅れなので、追いつくにはなかなか厳しい。一方で、プロセスの高度化などは得意なので、そこを生かしていくべし。

NEDOプロでもAI×生物学は大失敗してるから、ほんとにAI化・機械化をするならリソース一点集中で出してほしい。

 

⑧ バイオ関連分析・測定・実験システム

‧ 全産業がバイオ化する状況の中、バイオ関連産業も今後、大幅な拡大が期待

‧ 我が国の先端計測技術、ロボティクス等の要素技術は国際競争力あり

‧ 我が国の要素技術を活用し、バイオ関連の分析・測定・実験プロセスのシステム化や測定方法の国際標準化等を図り、海外市場を獲得

 

➡ 日本はここがかなり強い。でも国際標準化まで行くか。。方策が気になる。

 


⑨ 木材活用大型建築・スマート林業

‧ 建築物の木造化、木質化は、温室効果ガス削減効果が極めて高いことから、その可能性が着目されており、欧州、北米を中心に木造高層ビルの建設に官民を挙げて挑戦。鉄、コンクリート代替としての木材需要の増大が予想

‧ 我が国の木材自給率はここ 15 年間でほぼ倍増。木材輸出も増加し、戦後開始した植林による人工林は、2020 年には約7割が主伐期を迎えると見込まれるなど、林業・木材加工も成長産業化の兆しがあるとともに、スマート林業に将来性あり

‧ 我が国の伝統ある高い木造建築技術、世界から評価される美しい設計、正確な施工管理、耐震技術を強みとして、木材活用大型建築を国内において普及させ、さらに、木造住宅の輸出による海外市場を獲得。将来的には木材活用大型建築に拡大

 

 

➡ この分野は全く知らず。日本は森林が余っているので確かに競争力はある。この分野はまだブルーオーシャンだと思われる。いいとこに目をつけるなぁ。

 

 

 これらの分野は市場の活況が予測されるので、できるだけ早く情報収集をし、それに基づいた研究の方向性や事業展開をしていく、ということを強くおすすめいたします。また、学生にとっても、社会動向を見ておくのはとても良いことです。

 この分野はおいしい案件が転がっていそうなので、どんどん参入していきましょう。

 

 

【1報1,000万円?】修士で論文を書くメリット

先の記事では、僕の修士時代の体験を書きました。僕は、修士で論文を一報書いたことによって、その後の博士課程まである程度順調に過ごすことができました。

 

rhizobium.hatenablog.com

 

 ということで、この記事では、論文を書いて良かったことをまとめようかと思います。

 

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目次

 

 修士で論文を書くことが、どれほど研究者に良いことをもたらすでしょうか?僕の経験をもとにまとめてみました。結構いいこと尽くしです。

 

1. 研究の能力が格段にレベルアップ

 論文を書くことってなかなか大変です。特に、1報目を筆頭著者としてまとめ上げることは、胃が痛くなるほどの作業です。初めてのことだらけです。

 逆に言うと、それだけスキルが身につきます。どんなスキルが身につくかというと、

 

・論文での主張を論理の破綻がないように述べる。

・長文で英語を書く。

・論文用の図表を作る。

・Abstract, Introduction, Materials & Methods, Results, Discussion, Reference, Supplemental Informationなどの論文構成を構築する。

・論文の細かいルールや投稿規定を知る。

・Referenceの入れ方を知る。

・ResultとDiscussionの違いを知る。

・著者の順番に配慮する。

・データを機関にアップロードする。

などなど、まだまだあります。

 

 思いついただけでも大量です。これは、論文を100報読んでも身につきません。1報書いて初めて身につくことです。

 百考は一行に如かず。

なのです。

 

 そして、論文を書いて、これらのスキルを身に着けた研究者は、2つのことが変わります。

① 研究のデザイン力が格段にレベルアップ

 論文を書くためには、どういう研究デザインで、どういう実験をすればよいのかを考える力が格段に上がります。訳も分からずいろんな実験をやってみる、という効率の悪い仕事の仕方から離れ、明確な研究戦略に則って実験をできるようになります。

 論文を一報かいて、やっと研究者の仲間入りです。

 

②論文を読む力がアップ

 一報論文を書くと、他人の論文に対する見方が変わります。この論文はここがすごい、とか、ここはちょっと怪しい、とか、この実験大変だったんだろうな、とかまで読み取れるようになります。自分がしんどい思いをして書いた分、他人の研究デザインについて評価する目を手に入れます。

 

③研究者の感覚がつかめる

  どれくらいの期間で、どういう実験で論文が書けるのかをある程度見積もれるようになります。特に博士課程に進学するなら、論文が3報必要になるので、とっても大事な感覚です。あとどれくらいで卒業できそうか、という距離を予測することができます。

 

2. 周囲からの評価がアップ

 研究能力だけではなく、評価のアップします。教授や先輩から見たら、「あいつもようやく研究者の仲間入りをしたな」という評価になります。より良い研究を任されたり、テーマ提案させてもらったり、研究室での発言力アップなどが見込めます。

 また、学会などでも、ポスターに自分の論文を引用することで、「若いながらちゃんと論文を書いてる」という、ちょっとした信用を貰えます。それを足掛かりに同じ分野の研究者と仲良くなることも可能。

 

3. 自信がアップ

 「論文を一報書いた」という自信は大切です。これを積み重ねていけば、博士号もとれる、という自信が身につきます。博士課程への進学も選択肢に入るかと思います

 博士課程の進学が選択肢になったら、こちらのブログもお読みください。

 rhizobium.hatenablog.com

 

4. 論文1報1000万円

 修士で論文を持っておくと、奨学金免除と、研究資金の採択率が大幅にアップします。

 例えば、日本学生支援機構の第一種奨学金は「特に優れた業績による返還免除」という制度があります。

特に優れた業績による返還免除 - JASSO

 僕はこの制度で、8.8万円*24か月 = 2,112,000円が返還免除になりました。こんな大金を頂けるなんて、素晴らしい制度です。200万のために研究を頑張る、というモチベーションにもつながります。

 もし、M2の5月までに論文を書け、博士課程に進むなら、日本学術振興会のDC1という制度への採択率が大幅にアップします。筆頭著者の論文を持っている人は、採択率がほぼ10割だと思います。論文を持っていて落ちた人をみたことがありません。(もちろん申請書がよっぽどひどい場合は例外です。)

 そうすると、240万*3年 = 720万 + 研究費が年100万くらいつきます。

なんと、修士の間に論文を書くだけで、

 約1000万円の資金獲得をほぼ確実にする

ことができます。

 

 

5. その他もろもろ

 その他、人それぞれですが、メリットがあったりします。

 私は論文を書いたおかげで、読者から質問が来て、なぜか流れで飲みに行くことになりました。しかも素敵な女性から( ´∀` )

 この辺は「論文を書いたらナンパされた話」という記事をそのうち書きます。

 

6. まとめ

 修士のうちに論文を書いておけば、

・研究能力が格段にアップし、

・周りからの評価が上がり、

・自分に自信が持て、

・1000万円超の資金を獲得でき、

・女性にナンパされる

 というイベントが起こります。

 

めっちゃ胡散臭い三流雑誌の裏チラシみたいな宣伝ですね。でも僕の身にはそんなことが起こりました。

 

でも、十分なインセンティブでしょ?

死ぬほど頑張って論文書いてみない??

修士で論文を書いた話

 博士号をとるためには、国際誌への論文投稿が必須となります。なので「論文を書くのは博士号をとる人だけでよい」と思われがちです。でも、僕の意見では修士課程の方も論文を書くべきです。本記事では、僕の経験をもとに、論文を書くメリットを説明していきます。

 

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目次

 

 

修士で論文を書く

 僕は、4年生で研究室に配属され、修士1年の時に初めて論文を書きました。その経験が研究者生活にとても役立っていますし、博士号を取ろうと決断したのも論文のおかげです。

 でも、修士課程で論文を書ける人はとても少ないです。僕の卒業した大学では、上位5-10%くらいでしたね。

 修士で論文を書ける人のパターンは二つ。

 

1. 先輩の研究の引継ぎで、ちょうど論文化できるタイミングが来た。

 これは運要素が結構強いです。研究室に配属されたときに、どの研究テーマにアサインされるかは、教授が決めるパターンが多いと思います。なので、自分でコントロールできません。研究室配属までに、教授に好印象を与えておいて、良い研究テーマにアサインしてもらえるように根回しすることが大事かと思われます。もちろん、そんなことできない場合も多いです。

 ただ、研究室で引き継がれるテーマに関しては、ある程度データが出る見込みがあると思われるので、可能性はあります。

 

2. 研究の立ち上げから論文化まで修士の間にできた。

 これは難易度が高いです。どれだけ短い期間で達成できる研究をデザインするかが全てですし、全くデータが出ないなんてこともあります。

 研究デザインを自己責任で行い、結果は運任せ。ギャンブルです。修士修了時に鳴かず飛ばずの研究になっていることもしばしば。リスクが高い。

 

僕の経験

 僕は、上記2でした。研究の立ち上げから論文化まで修士の間にやりました。なぜかというと、教授に新テーマをアサインされたからです。

 僕は、良いテーマをアサインしてもらおうと思って、教授に好印象を与えるよう活動していました。研究室配属前に、教授の授業で質問するとか、研究室を訪れて話を聞くとか、教授の授業の試験で満点を取るとか、存在感を上げるようにしました。

 結果、存在感を上げすぎて、あいつなら何とかするだろうと思われ、新規テーマをアサインされました

 

 完全に誤算です。

 

 しかも、そのテーマは完全なる新規テーマで教授のJUST IDEAをベースにしていました。なぜか、微生物の研究室で植物を育てるという考えられないぶっとびようでした。

まず。実験試料を育てるのに、配属されてから半年を使いその間No Dataで進めました。

 

 でも論文を書きました。

 

論文執筆のスケジュール

僕がどうやって論文を以下にスケジュールを書いていきます。

1年目  4月  研究室配属 新規テーマ開始。

           5月  どの植物を使うか決まる。

           6月  種の仕入れ先を見つけ、発注。

           7月  種から発芽し、満足。

           8月  大学院入試のため、勉強に専念。当然植物は枯れ、実験はリセット。

           9月  種を植える。

         10月  始めての実験サンプルができる。実験開始

         12月  一通り遊び実験をする。

   3月  ほぼNo Dataで卒論を書く。

       同3月  個人的に参加した学会で、僕が使っている植物の専門家に会う

        正しい実験手法を教えてもらう。

 

2年目 5月  サンプル量が100倍に!  

          6月  嬉しくて朝から晩まで実験し続け、1つデータが出る。

      同6月  それを見た教授が学会に行かせてくれることに。

    6-10月  データが足りないので、死ぬほど実験する。

       10月  はじめての学会

       12月  教授から「論文を書け」とのお達し。年末休暇がなくなる。

    1月  論文が上手く書けず泣く。プチ鬱。

    3月  なんとか初投稿

 

3年目 8月  論文が掲載される。

 

ということで、M2の8月に何とかして論文を仕上げることができました。このおかげで、後に書きますが、それからの研究者生活を順調に進めることができます。

 

なぜ論文を書けたのか?

 私の経験を振り返って、ポイントはあります。

①研究一年目の過ごし方

 研究一年目は教授の無茶ぶりにより、No Dataで終わりました。ただし、その間何もしていなかったわけではありません。

 ・その植物の分野の論文を読み漁った

 ・どんな実験をやりたいか妄想し続けた

 ・実験量が少なかったので、その分思考することに回せた。

というのが大きかったでしょう。特に実験サンプルがあると意味もなく実験しがちなのですが、僕にはサンプルがなかったため、すべてを考える時間に回せました。

 

②学会で専門家に出会えた運

 これがなければ、研究が破綻していたでしょう。出会った先生が良い人で、実験方法の資料を送ってくれたり、研究室に見学に行かせていただいたり、とてもお世話になりました。その後実験サンプルの生産性が100倍に上がり、多様な実験をできました。

 

③教授の無茶ぶり

 学会参加も、論文執筆もかなり見切り発車でプレッシャーを与えられました。教授なりのマネジメントなのでしょうか、かなり厳しかったです。泣きながら論文を書いていました。でもそのおかげで修士で論文を書けました。

 

④なんといっても研究が好き

 これは研究者の基本ですね。以下の記事にも書いてます。

rhizobium.hatenablog.com

 

 ということで、 私はいくつかの幸運と、なかなか得られない考える時間を十分に得られたことで論文を書くことができました。

 考えずに研究をしていると、論文を書くことは達成できなかったと思います。また、実験に縛られない分、いろんな研究者と会い、幸運の出会いに恵まれました。

 

僕じゃなくても再現できるか?

 僕の意見では、ある程度可能だと思っています。ただ、かなり大変です。ポイントは3点、

①手数を増やすこと

 手数というのは、

 ・研究デザインのパターンをどれだけ持っているか。

 ・どれだけ多くの実験を企画するか。

 ・同じ実験サンプルからどれだけのデータを取るか

 という研究のことも含みます。実験が成功するかどうかは打率が低い(バイオ系の場合)ので、どれだけ多くの実験を企画し、同時に実施できるかが問題となります。

 また、研究テーマを一つに絞る必要もありません。同じ実験サンプルで2,3個の研究テーマにつながる実験を実施してもよいわけです。なので、手数を増やしましょう。

 

②じっくり考える時間を十分にとること

 上記のことは、実験で忙しくしながら考えることは厳しいです。なので、実験が終わって寝る前とか、朝起きたときとか、バイトしながらとか、脳の余ったメモリを思考に当てましょう。そうするとじっくりと考えることができます。

 

③他人の知識を取り入れること

 論文を読むのはもちろんなのですが、実験が再現できなかったりします。なので詳しい人に徹底的に聞く、相談するというのが大事です。

 また、研究デザインなどに関しても、人と話しながら考える方が正確なものができます。できるだけたくさんの情報を仕入れ、それを基に考えることが重要です

 

あとは運・・・

 論文が書けるかどうかなんて、正直言って半分以上は運です。僕は運が良かった。それだけです。データが出るかどうか、研究室のスタイルなどに依存します。運は再現できないので、ここまでして論文がかけなければ運が悪かったということになります。

 だからこそ、運以外のファクターを除くことで可能性を上げましょう。

 

 

ということで、まずここまでで一区切り。

ここからは、

修士で論文を書くと何が良いのか、

という点で書いていきます。

 

続きはまた今度、更新しながら書きます。→6/12書きました。

 rhizobium.hatenablog.com