Ph.D.企業研究者の思考貯蔵庫

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理系大学院生が博士課程に進むときに考えるコト① (資質・資金)

 ポスドク1万人計画以降、博士人材は増え続けています。しかしながら、アカデミックポストは年々減りつづけ、企業でも博士の採用に積極的であるところは多くありません。研究者を志し、博士を取得したものの、その後安定した職を得られず、自ら命を絶ってしまうといった痛ましい報道も目にします

 

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(写真 = いらすとや)

 

 そんな時代もあってか、僕もよく「博士に進むべきか?」という質問を受けます。この記事では、理系大学院生が一度は考えるコト

・博士課程に進むべきかどうか

について、僕なりの意見をまとめてみました。

 

博士課程でやっていける人

 博士課程でやっていける人には、大事な前提条件があります。それは、

・研究が好き

ということです。当然ですよね。。。研究が嫌いで博士に進む人はいませんよね。

 でも、大事なのはどれだけ研究が好きか、ということです。博士課程に入学すると、研究がうまくいかなかったり、人間関係に悩まされたり、教授に理不尽に叱られたりと、悩みや辛いイベントがたくさんあります。僕自身も、博士課程同時はとても悩まされ、泣いたり眠れなかったりする時期もありました。そんな中で一番の支えとなるのは、やはり”研究が好き”という感情です。

 ”研究が好き”という感情が強い人ほど研究者として成功する可能性が高いです。実際、僕の周りでも、研究が好きな人はアカデミックポストや企業研究者として成功しています。(一方でそんなに研究が好きでなかった人たちは、鳴かず飛ばずといった感じです。)

 なので、自信をもって研究が好きといえる人でなければ、博士課程は厳しいでしょう。

 僕の意見では、ネガティブドクター(修士で就活がうまくいかず、仕方なく博士に行く人)はやめたほうがいいです。浪人してでも修士で就職をしたほうが幸せになれると思います。

 ・コミュニケーションが好き

 研究者として自分の主張を相手に伝える、また相手の主張を聴く能力が必要になります。対話の中でアイディアが醸成することも多々あります。また、研究テーマを動かす上で協力者を募ることお必要です。情報収集も大事なので、コミュニケーションは大事な要素です。

 大学の研究者ってコミュニコーションが下手なイメージがありますが、そういう人は相当優秀な人でなければ大抵鳴かず飛ばずの研究者です。現在の科学は協力ありきが前提となっていますので、コミュニコーションが苦手な人は鍛えましょう。嫌いでなければ何とかなります。

 

博士課程に進むための費用

 

 そうですいきなり、お金の話です。なんだよ!と思う方もいるかもし出ませんが、でも実際には一番必要な要素です。

 国立大学院の博士課程に進むと仮定して3年間で掛かるお金を計算してみましょう。 

 

入学金 28万円
学費 162万円
家賃 144万円
食費 108万円
雑費 30万円
合計 472万円

月あたり家賃4万円、食費3万円で計算

 

 なんと3年間で500万円程度の費用が掛かることがわかります。しかもかなり節約した場合の試算なので、実際にはもっとかかるでしょう。バイトをしながら博士、なんていうのは無理があるので、このお金をどこから持ってくるのかということが問題となります。選択肢としては以下がありますです。

 

・親や親族に出してもらう。

 これができるなら問題ないでしょう。安心して博士に進んでください。

 

日本学術振興会特別研究員になる(←おすすめ)

 日本学術振興会(https://www.jsps.go.jp/)という制度があります。その中で、博士課程が取れるものとして、DC1, DC2というものがあります。要約すると以下です。

DC1 博士1年目から3年目まで3年間 20万円/月もらえる。

DC2 博士2年目、もしくは3年目から2年間 20万円/月もらえる。

 

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 この制度、激アツです。DC1ではなんと3年間で720万円、DC2でも2年間で480万円もらえることになります。上の計算を参考にすると、利益が出ます(笑)。僕もこの制度を使っていましたが、かなり裕福な博士課程を送ることができました。この制度、お金がもらえるのもそうなのですが、他にもいいことがあります。

①信頼を得られる

学会などで名刺やポスターに日本学術振興会特別研究員(DC1)と書いてあると、一目置かれます。研究者と知り合いになりやすい。懇親会などでもひと話題になります。

②就活に有利

資格みたいなものですので、就活にも有利です。アカデミア・企業かかわらず、これを持っていると、就活でうまくいく確率が相当上がります。

③自由を得られる

自分の研究費が年間最大150万円つきます。学会や調査費用、研究費を得られるので、好きなことができるようになります。僕は毎年のように海外学会に行ってました。

 

ただし、この制度を使うためには、研究計画書を書いて、審査されなければなりません。合格率は15~25%。ちょっと厳しめです。でも、アカデミアに進むつもりなら、毎年科研費の申請書を書くことになるので、その練習だと思えば、なんともないでしょう。

いずれ、申請書の書き方も記事にします。

 

奨学金をもらう

 この方法、2種類あります。

日本学生支援機構

 多くの人が借りるものとして、第一種(利子なし)・第二種(利子あり)小楽器んがあります。第一種に関しては、月最大122,000円借りられます。また、優秀な学生には返済免除義務もあります(全額免除:上位10%、半額免除:上位30%)。

日本学生支援機構https://www.jasso.go.jp/shogakukin/seido/kingaku/1shu/2019ikou.html

この奨学金のおかげで博士課程に進める人も多くいます。実際周囲でも借りている人が多くみられました。ただし、これは借金であるということを忘れないようにしてください。

②企業・団体奨学金 

給付型と貸与型があります。以下のサイトが詳しいです。

奨学金Net:https://xn--kus49bd41h.net/index.html

でも、親の年収が募集要項に含まれることが多く、親がなまじ稼いでいると申請できない場合が多々あります。これがネックです。

もし、親の年収が募集要項を満たさなければ、僕のおすすめは帝人久村奨学会がやっている奨学金です。僕も修士課程で頂いていましたが、人事部の方の人柄もよく、とても良い制度だと感じました。

帝人久村奨学会:https://www.teijin.co.jp/eco/scholarship/scholarship/scholarship.html

 

 ということで、私のおすすめは圧倒的に学振ですね。書き方指導も何度もしましたので、もし必要があればTwitterにDMください。

 

 

次は、博士課程に進むメリットです。今後も更新していきますので、よろしくお願いいたします。